「今、ここ」に気がついてみましょう

マインドフルネスという言葉を知っていますか。海外の企業が、マインドフルネス瞑想を研修として取り入れていることで、ご存知の方もいるかもしれません。
マインドフルネスとは、「その瞬間の自分の体験に、意図的に、判断することなく注意を向ける(jon Kabat-Zinn)」ことです。良い・悪い、好き・嫌いなどの価値判断をせず、「今、ここ」にただ気がついていられると、外側の出来事にとらわれることなく、落ち着きを取り戻し、集中力も高まると言われています。

ところが、トラウマを抱えていると、「今、ここ」にいられないことがあります。
つねにボーっとしている、ほんの5分くらいのつもりが1時間も経っていた、生きている感覚がない、ゆえにリストカットなど自分を傷つけてしまう、いつも探しものをしている(例えば、鍵をどこにおいたのか毎日忘れる)など。
または、友だちから言われた言葉が頭から離れない、親からされたひどい言動が繰り返し脳内で再生される、なんであの時うまくできなかったんだろうという思いに囚われる、その他さまざまな恨み、辛み、嫉みの感情が付きまとって離れない状態が続いている。これでは過去に飲み込まれ、今を生きることができません。逆に、まだ起きていないことを案じたり、この先いいことなんてないと決めつけたり、悪いことが起きるんじゃないかと不安にかられたり…。このような場合も同様に「今、ここ」にいれていない状態と言えるでしょう。

「今、ここ」にいられない状態は、意識が身体から離れてしまっている状態であり、脳機能にも負担がかかっていると考えられています。そうであれば、日常生活に支障が出てくるのは当然です。でも悪いことばかりではありません。このような状態にいると、辛い現実を感じずに済み、自分を守れるという働きがあるのです。この両側面を理解しつつ、それでもなお「今、ここ」にいられる時を長くしていくことが、この先の人生を豊かにするためにも大切なのではないでしょうか。

「今、ここ」にいるための方法の一つとして、自分の呼吸に気がつくというのがあります。今の自分の吐く息と、吸う息に意識を向ける(吐いているな、吸っているなと気がつく)、これだけです。お腹が引っ込んだり、膨らんだりしていることに気がつくかもしれませんし、息がゆっくりと入ったり、出たりすることに気がつくかもしれません。あるときには、呼吸が浅くていやだなー、と感じることがあるかもしれません。嫌なことが浮かんだり、〇〇をやらなきゃ、ということが浮かんでくるかもしれません。が、頭に思い浮かぶものはそのままにしておきます。良い悪いのジャッジは一先ず脇に置いておいて、今の呼吸に意識を戻して(気がついて)みましょう。はじめは、3~5分くらいを目途にやってみて、徐々に時間を長くできるといいでしょう。

もし、リラックスしたり、身体が緩んできたときに、嫌な感じや、怖さが出てきたときは、一人では行わず専門家と一緒にやることをおすすめします。ソマティック・エクスペリエンシング®は、あなたのペースで、安心感を持ちながら取り組んでいくことができます。