トラウマと感情のコントロール、その前に

  
 最近のアンガーマネジメントのブームや、周囲から聞こえてくる声などから、不快感情の表出を抑制したい、もしくは、せねばならないと思っている人が少なくないようです。
 不快感情の中でもとくに怒りの感情に手を焼いている人が多いのかなという感じがします。これは怒りを表出することによって、大人げないと言われかねない可能性があるのと、インターナショナルな世の中になってきたとはいえ、感情を顔に出さないことが美徳とされる国民性が関係しているのかもしれません。もちろん、感情的にキレてしまって、誰かを傷つけたりというように、怒りが攻撃行動となってしまうと問題なのですが。

怒りも大切な感情の一つ

 怒りを単なる悪者として扱われているのなら、それは違うように思います。怒りも大切な感情の一つだからです。たとえば、理不尽な嫌がらせをされて怒りを感じたとしても、それは当然のことです。理不尽な出来事に対する自然な反応だからです。 
 または、ときに怒りを生きる力に変えられることもあるでしょう。たとえば、上司に仕事のやり方を注意されて腹が立ったとしても、その後でその悔しさをバネによい業績を出すことができた、などというように。

自分の中にある感情を感じる

 大切なのは怒りを感じたらまず、自分は今怒ってるんだなーとただただ見つめてみることだと思うのです。これは怒りに限らず不快感情あるいは感情全般に言えることです。そして怒りを感じている自分の中に、傷ついている自分を見つけたらよしよしといたわってあげましょう。あんなことされたら悲しいよね、などというように。抑えるよりも、コントロールするよりも前に、自分の中にある感情を感じられるといいですね。

トラウマをケアする

 もし、不快感情によって誰かを攻撃してしまったり、人間関係がうまくいかなかったり、自分を傷つけているのだとしたら、それは過去に受けた傷が癒えていないのかもしれません。 トラウマを受けた人は、恐れ、怒り、無力感などの感情が繰り返し襲ってくることがあります。そんなときは、お一人で悩まずに、信頼できる人とつながってケアをしていきましょう。
  ソマティック・エクスペリエンシングⓇでは、繰り返し襲ってくる感情に気がついたときに、身体はどんな感じなのかに意識を向けてもらいながら、徐々に不快感情のエネルギーを解放できるようアシストしていきます。